「薔薇の花言葉を、知っていますか?」
この前、菊の家に遊びに行った時に訊かれた言葉。
「知ってるけど…」
「では、いくつ知っていますか?」
菊はにこりと微笑んで続けざまに質問してくる。
「え?いくつ?ちょ、ちょっと待って…えぇっと…愛でしょ?情熱、と………2つ?かな…」
いつも手に持っている花なのに、意外と知らないものだ。指を折りながら数えてみても、2つしか出てこなかった。
「ふふ…そうですね。その2つが有名ですよね。でも、実際にはもっと沢山ありますよ」
「うーん…お兄さんはその2つ知ってれば良いんだよー…。愛!愛が全て!」
両手を拡げて叫ぶ。もう開き直ってやる。花言葉なんて、そんなに沢山知らなくても良い。2つあれば、それで十分。
愛。愛があれば良いよ。それが全て。あいつも、俺の事を愛してくれれば良いのに。
「フランシスさんらしいですね。あ、そうだ…あまり知られていないのではこういうものもあるんですよ―――」
『愛と、情熱と、』
「アーサー!」
今はアフタヌーンティーの時間だから、自宅の庭にいるだろう。そう思ってきたら、予想通り。
「げっフランシス!何しに来やがったんだよ!」
「ひっどいなぁ。お兄さん傷ついちゃうよー」
いつもの事だから本当は気にしていないけど、おどけたようにして言ってやる。これも、いつものやりとり。
「今日はお前にプレゼントがあったのになぁ…そうか、いらないのかぁ」
「な…っい、いらないなんて言ってないだろ!」
「はいはい」
ったく、素直なんだか、素直じゃないんだか。顔を真っ赤にさせてそう言うアーサーは可愛い。俺は、こいつを愛してる。
だから愛を意味する花を、彼の国花を、渡してきたんだけど。彼はそんな事は知らない。ただ、俺がこの花を好きだから、程度にしか考えていないだろう。
「今日は…はい、これ」
一輪の薔薇を取り出して、相手に差し出す。いつもと同じ花。でも、俺にとってはいつもと違う意味を持っている花。
「あげる」
笑ってそう一言言うと、アーサーはじっと花を見つめて、それから奪い取るように受け取った。顔を、真っ赤にさせながら。
いつもの事なのに、ちっとも慣れない相手を見て、口元がほころぶ。純粋なんだなぁと思う。ずっと、このままでいてほしいとも。
「い、一応貰っといてやるよ!」
口は悪いけど、あげた物は全て大切にしてくれる…そんな人だ。だからあげて良かった、またあげよう、という気持ちになる。
「そうだ。薔薇の花言葉って、知ってる?愛と、情熱と、その他に」
この前、菊の家に遊びに行った時に訊かれた言葉と、同じ事を口にした。その花言葉を教えたかった。その花言葉のように、彼の気持ちが動いてほしかったから。
「は?…えーっと……。………そんなん知るかよっ!別に知らなくたって良いだろ!」
「あははっお前らしいな。じゃあお兄さんが皆が知らないようなのを1つ、教えてあげるよ」
「わ、笑うなっ!ばかぁ!何で上から目線なんだよ!って、おい!」
ぐい、と引き寄せて、耳元で囁く。菊に聞いた、薔薇の花言葉を。
「恋から愛へ」
この花を、彼にあげたいと思った。『好き』じゃなくて、『愛して』ほしいから。
あとがき。
ネタ提供:たけだけ様(こさみー
こさみーのリクエスト品でした。こさみーのみお持ち帰り可。スルーも可ですよ!
……何かごめんね!駄文でごめんね!
文才ないんだ!分かってる!
これはフラアサだけど、私はアルアサ派なので大変でした。アーサーが書けなかった。
そして本田さん好き過ぎて出してしまいましたサーセン。
花言葉をどう出そうかなと凄く悩んだ結果本田さんに行きついてしまいました。
兄ちゃんは愛で、アーサーは恋的な感じで好きと言う事で…。うん、ほんとごめんね!
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